薬局薬剤師FMの備忘録

薬剤師えふえむの勉強ノート

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前立腺肥大症に抗コリン薬って使うの?~前編~

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経緯

今日はこんな処方がやってきました。

【外科】

アズノール軟膏 5本 

ブスコパン錠 1錠 1日1回 朝食後 14日分

 

併用薬を確認すると同じ病院で

ユリーフ錠

アブルブカプセル 朝食後 56日分 

 

思いっきり前立腺肥大の治療してますやん…

そう思ってブスコパン錠が抗コリン薬なのでもちろん疑義をかけたんですが、Drが直接電話に出てくれたので、以下その内容。

「お世話になってます。この方、泌尿器科で前立腺肥大症による排尿障害の治療をされていますので、今回処方されているブスコパン錠は禁忌となります。」

Dr「あれ?注意じゃなくて禁忌やったっけ?どうしようかなぁ…。おしっこの出具合聞いてみてー」

「すみません。今、患者様外出されていまして…」

Dr「聞いてから電話して」ガチャ

「…」

 

とまぁなんとも言えない気持ちなったんですが、気を取り直して患者様の電話番号調べてみたら、電話番号記録されてない(笑)

仕方なく、患者さんが帰ってくるまで待ってたんですが、よくよく考えるとおしっこの出具合で抗コリン薬を服用できるか否か変わってくるん?という疑問が出てきて、もんもんとした感じになってました。

 

そして患者さんが帰ってきたのですが、来局されたのはなんと奥様。これまた(笑)。

おしっこの出具合について望みは薄いですけど聞いてみると…

「実は今回出てるお薬が、今治療されているおしっこの出具合に悪影響を与える可能性があるので、一度先生に確認したのですが、先生からは患者様からおしっこの出具合を聴取してから考えるとのお返事を頂きました。その…旦那様はどんな感じかご存知です?」

奥様「出はいいみたいですよ。」

「そうですか…。ちなみに今回の処方はどういった経緯で?」

奥様「今までストマーをしてたんですが、前にストマーをとってしばらく入院してたんです。そしたら便の方なんですけど1日に15回くらいトイレに行くようになって…。それで腸が動きすぎているということで止めるお薬を出しときますと言っていました。」

「なるほど。もう一度先生に聞いてみますのでお時間少々いただきますね。」

 

けっこうしっかり旦那様の状態を把握して下さってました!

すぐさま電話して…

 僕「もしもし、午前中にお話しさせて頂いてた件なんですが」

受付「少々お待ちを…」

看護師?「今先生手術中でしてー。代わりに聞きますけど」

「かくかくしかじか…」

看護師?「あぁちょっと待ってください。~保留中~」

しばらくして…

看護師?「あのーそれでは泌尿器科の薬中止してください。」

「え?そっちを中止ですか?」

看護師?「はい。ではよろしくお願いしますー」ガチャ

「あ…」

 

え、先生に確認したん?誰の判断?

泌尿器のほうを中止したら余計わるくなっちゃうんじゃないの!?

薬との飲み合わせが悪いって言ってるんじゃないんですけど!?とか思いつつ

「泌尿器科のほうを中止みたいです。でも、ごめんなさい。今回このお薬は渡させていただきますけど、もう1度朝一にDrに電話して確認させて頂いてもよろしいですか?。もし体調が崩されたらと思うと怖くて…」

奥様「もし出が悪くなったらダメですもんね。わかりました。連絡待ってますね。」

 

そのあとブスコパンの添付文書をよくよく見返したのですが

・禁忌の欄には前立腺肥大による排尿障害のある患者

・慎重投与の欄には前立腺肥大のある患者

と記載されているのを見て

若干ニュアンスが違う…、もしかして尿の出がよかったら併用してもいいのか…、もしかしていらんこと聞いたから、泌尿器科のほうが中止になったんじゃないか…とかもういろいろ悩みました( ;∀;)

この続きはまた明日聞きますけどね!

 

というわけで前置きが長くなっちゃいましたけど、今回は前立腺肥大症の人に抗コリン薬を使うことがあるのかを調べてみたわけです。

 

こういう場合はガイドラインや!ってことで閲覧してると

…ありました。

記載されてますねぇ。ちょっと引用。

 

前立腺肥大症に対してα1遮断薬と抗コリン薬の併用治療は推奨されるのか?

【要約】

過活動膀胱を伴った前立腺肥大症に対しては,α1遮断薬を初期治療薬と し,その無効例に対して抗コリン薬の投与が推奨される。ただし,排尿困難・尿閉 などの有害事象が危惧されるので,慎重な投与(少量から開始・頻回の観察など)が 推奨される

冒頭部分の引用

前立腺肥大症の50~75%は過活動膀胱(OAB)症状を伴う。α1遮断薬は単独でもOABに有効であることから第一選択薬に推奨される。しかし、下部尿路閉塞と排尿筋過活動を合併した症例では,α1 遮断薬単独では65%に改善がみられず,その症例に抗コリン薬を併用すると73% に改善がみられたという報告がある。

 

つまりどういうことだってばよ…

 

言うなれば前立腺肥大症を持ってる方は膀胱におしっこをためきれず、おしっこの切れを悪くしているので

α1遮断薬は尿管を広げることで尿の通りを良くし、抗コリン薬は膀胱を広げてゆとりを持たしてあげる事で改善するようです。

 

でも続きを読んでみると試験で使われている薬剤はOABに適応がある

  • デトルシトール(トルテロジン)
  • ベシケア(ソリフェナシン)
  • バップフォー(プロピベリン)

などなど

ブスコパンは出てこない…

 

禁忌の違い

先ほどのOAB改善薬の禁忌の欄とブスコパンの禁忌の欄を見てみると若干ニュアンスが違いました。

OAB改善薬の方は尿閉を有する患者

ブスコパンは前立腺肥大に伴う排尿障害のある患者

となっており、イメージはOAB改善薬の方がまだブスコパンよりかは適応が寛容という感じですかね。

ブスコパンあかんやん…。でも代替案が浮かばない…。

 

どちらにせよ

今回疑義照会で泌尿器科の薬が中止になりましたがガイドラインを見ている感じ、泌尿器の薬を中止する要因が見受けられないように感じます。

もしかしたらむこうの病院で伝言ゲームみたいになって、間違った指示が来たのかもしれないですし、明日もう一度聞いてみます。

 

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